自筆証書遺言の作成が簡単になるかも?!
みなさん!こんにちは!
一般社団法人かんさい相続サポートセンター
専務理事の廣森良平(司法書士)です。
さて、
中日新聞で面白い記事がありました。
記事を要約すると、
現在の方式は、あまりにも厳格であり、
遺言者がせっかく思いを込めて作成した遺言書が
ちょっとしたミスで無効になってしまう
不都合を回避するためです。
実は、自筆証書遺言を作成するには、
厳しい要件があり、
具体的にあげると以下のとおりです。
①全文自筆
②書いた日付を記載
③署名捺印
④訂正の方法も民法に定められている。
こんなところです。
なので、具体例を挙げると、
以下の遺言書は無効となります。
①全文自筆という事は、
ワープロで書いた遺言書で最後に日付と署名捺印をしても
無効という事になります。
②書いた日付を「平成27年12月吉日」とすれば、
日付が記載されていない事になり無効です。
③署名はしていても、
捺印がなければ当然無効です。
④訂正の方法も民法に定められているので、
訂正印で訂正しただけでは無効です。
なので、一文字でも間違えれば、
とても面倒くさいですが、
書き直しがベストです。
しかしながら、以上の間違いなんて、
ほんの小さな事だと私は思います。
さらに、上記①から④については、
遺言を書く人のことを考えると
次のように思うのが人情ではないでしょうか。
①(全文自筆)については、
高齢の方で長文を自筆で記載するのは
かなりしんどいと思います。
②(書いた日付)を記載については、
遺言の効力は遺言者が死亡した瞬間から発生し、
遺言者の方が生前に意思表示をした事が間違いなければ、
問題なしと思います。
但し、
遺言書の撤回(前と違う内容にする)について考慮すると、
遺言書は最新に書かれたものを優先するため、
日付の記載は必要かもしれませんが、
それもどれが最新の遺言なのかを
遺言書の内容で特定できれば
問題は回避されるかも知れません。
③(署名捺印)については、
署名さえしていれば、
遺言者の意思のあらわれであると思うし、
この捺印は認印で構わないため、
三文判なんてすぐに誰にでも手に入るという事を考慮すると
「認印を押す実益って果たしてあるのかどうか?」
という事になります。
④(訂正の方法も民法に定められている)については、
ある文書を訂正印で訂正する事は
実務的・慣習的に広く認められております。
以上のとおり、
普通に考えた場合に感じることを述べましたが、
簡略化されるという事は、
偽造や変造も簡単になってしまいます。
なので、記事にも述べられていましたが、
改正も限定的に留まるのではないかと私も思います。
自筆証書遺言の簡略化についてお話ししましたが、
自分の遺志をきちんと遺したい、遺した家族間でのトラブルが
起きるのを少しでも回避することを考えれば
遺言はやはり公正証書遺言にすべきです。
自筆証書遺言を書くにしても、
専門家の指導を受ける事がベストだと思います。
何のために遺言を残すのか、その目的に合わせて
使い分けをしてもらえればと思います。