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争族対策としての「遺言書」のすすめ

私は、

担当させていただく「相続」や「終活」に関するセミナーや個別相談会などで、

「正式な遺言書を書く事を考えてはりますか?」

 

と、みなさんにおたずねするようにしてるのですが・・・

 

 

大半のかたは、

 

 

「私には相続税を払わなあかんような高額な財産はないから書く必要はないわ。」

 

または、

 

「家族もみんな仲悪うないし、のこった家族でなかよく好きに話し合ってきめてくれたらええんです。」

 

または、

 

「子供達は仲も良くて、みんな親をたいせつにしてくれてるから、そんなん書かんでも、わたしのおもいは十分に伝わってるはずです。」

 

などと、まずはおっしゃいます。

 

 

 

ほんと このお答えをお伺いするたびに、

 

戦争が終わるまで家長制度を大切にしてきた、日本人らしい、謙虚な「分」をわきまえた奥ゆかしいお答えやなあ。と一瞬ほのぼのとしてしまうのですが・・・・

 

 

残念ながら、

 

この回答をされるようなご家族層の方がむしろ、

 

相続の時に「争族(続)」 すなわち、「家族が争う・続く」相続になるケースが多い

という現実がデータでもでているのをご存じでしょうか。

 

ご紹介しますと、

 

最高裁判所が発表しているものなのですが、

 

「遺産分割事件」といって、遺産のわけかたで争っている相続人というのは、

昨年度、平成25年度だけで、8951件もあったそうです。

 

 

そして、そのうち、

 

遺産の総額が、昨年度の相続税基礎控除が受けられる5000万円、すなわち、相続税の対象になるような財産を遺されなかった方相続人たちのもめ事って、どれぐらいの割合だったとおもわれますか?

 

なんと、75.1%を占めるそうです。

 

さらに驚くのですが・・・

 

その75.1%のうちの4割以上(全体でいうと、32.3%)は、

 

1000万円以下の遺産を巡って、家族間が長い年月をかけて、まさに骨肉の争いをしているというのが、悲しい現実だったのです。

 

また、更に意地悪なことをいえば、

 

さすがに日本人らしさを発揮して、調停や裁判という公になるような争い方は避けた

けれど、

 

 

「遺産分割協議」のあと、何十年も兄弟の関係がぎくしゃくしたままで疎遠になってしまった。などという、

 

裁判所のデータ上にはのっていない「争族」といえるケースは、たぶんもっと多いのではないでしょうか。

 

 

でも、この争いって、ほんとは、誰かが悪い。という絶対的な悪人がいるわけではないんですよね。

 

 

それぞれに言い分や親へのおもいがあるからこそ、

 

 

家族ゆえに感情がむき出しになってしまったり、

 

また、そこに、それぞれの嫁や夫といった相続人ではない身内が口をだしてきて、どんどんややこしく、引っ込みがつかない状態になる。

 

というのが悲しい現実ではないでしょうか。

 

実際、大変残念なことではありますが、

 

わたしのところに相談に来られた時にはすでに本格的な「争族」になっていて、

 

信頼できる「弁護士」を紹介して闘ってもらうしかもう方法がないかなという案件が増えているな。という実感もあります。

 

友人の弁護士からも、

 

「ちゃんとした遺言書さえ遺しておいてあげれば、こんな長期にわたって身内同士が感情むき出しで争う必要なかったのに、とおもう案件がおおすぎる。他の訴訟と違って、なんかつらいは」との話を聞いています。

 

実際の裁判の場に数多くたっている弁護士がこんなこといってるところをみると、

 

やはり、「正式な遺言書」を書いといてあげることが、愛する家族や大切なひとを、

長い間かかる「争族」から守るための予防策として、とても大切なことだ。

 

と、益々おもうのです。

 

また、「争族」になりそうにないケース(例えば、法定相続人が仲良く遺産を分割することができるケース)でも、

 

実は「遺言書」を遺してあげる大きなメリットがあるんです。

 

「正式な遺言書」があれば、色々実際の相続手続きで必要となる、面倒な戸籍集めや必要書類への法定相続人全員の署名や実印押印をなどの手間が随分と省略できて楽になります。

 

なので、遺された家族の手続きの煩わしさや時間・費用という負担が減らせる。

というメリットがあるということです。

 

さらには、なにより「遺言書」は、ラストラブレターともよばれているとおり、

 

普段は照れくさくていえない・・・

 

家族やたいせつなひとへのおもいや願い・感謝といったメッセージを遺せる最後の機会でもあります。

 

人も生き物である以上、残念ながら遅かれ早かれ100%「死」とはむきあうことになるのですから、

 

ひろい意味では、100%すべてのひとに、

 

ご自分が頑張って生きてきた証として、世界にひとつだけのとっておきのラストラブレターとしての「遺言書」は、ぜひ書いていただきたいな。

 

と、私は心から切に願っています。

 

そして、法的に有効な「遺言書」を、大切な人に遺されたいと考えておられる方のためには、

 

国民のみなさんの「権利義務または事実証明に関する書類作成」を本業とする「行政書士」という法律家として、

 

とっておきの有効な「遺言書」の完成をサポートすることはもちろん、

 

完成した「遺言書」に託した依頼人の想いを、しっかり遺族のかたにお伝えしたうえで、依頼人が望まれる財産承継を円滑にサポートできる遺言執行人としても、

 

しっかり責任をもって次世代へのつながりをサポートさせていただければ、

 

ほんと仕事冥利につきるなあ。

 

とおもっている今日このごろです。

 

(筆/岩井 留美)