◆「相続(争族)」問題への国民の関心度の高さ(!?)
『サザエさん一家』までは有名ではないかもしれませんが・・・
国民的なホームドラマとして25年間続き、連ドラ終了後も不定期にはなったものの「特番」として放送されている TBSの橋田須賀子ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(以下、略して『渡おに』。)
私も 秘かに(笑)、長期にわたり『渡おに』の大ファンです。
このドラマの魅力は 少し極端なとこはあるものの、その時代時代の世相を反映した社会問題を絡めて、それに捲き込まれる夫婦・親子・家族・親族たちの事情を、ドタバタ笑いあり涙あり、人の性格の悪さやズルイ部分もズケズケとリアルに掘出しながらも、最後はなんか「人生にはいろんな試練があって、色んな勝手なことを言う人もいたり、全員が絵にかいたようなハッピーエンドで終わらないかもしれないけれど、精一杯前を向いて生きていけば、自分なりの幸せをつかめるのかも」とおもわせてくれるところではないかな
と私はおもっています。
また、登場人物が話す長いセリフの中で、色々な現実に社会が抱えている悩みや心の事件が浮き彫りになるだけでなく、その都度のテーマとなる社会問題等について、その制度の概要や特徴などの説明が丁寧にセリフに盛り込まれるところが、このドラマの特徴でもあるとおもいます。
私もこのドラマを通じて、今どのような問題が一般の方に関心が高いのか学ばせてもらったり、共感して涙したり笑ったり、時には「それはないは」とつっこんだりして、楽しませていただいています。
そんな、『渡おに』の特番。最新で放送されたのが今年2月だったのですが・・・
(私は録画を先週やっと見れました^^v)
今回の物語は、主要人物である5人姉妹(弥生・五月・文子・葉子・長子)の父である岡倉大吉氏(自宅を改装し「おかくら」という料理屋を営んでいた)が、2014年12月30日に突然の病で急逝したことで起こる5人姉妹の動揺を中心に、「おかくら」というお店の事業承継問題、姉妹での「遺言書」がない状態での、遺産相続問題がテーマとなっていました。
岡倉大吉氏を演じておられたのが、昨年他界された「宇津井健さん」だったので、これからのストーリーがどうなるのかなあ。と1ファンとしてはとても心配していたのですが・・・
さすがは名脚本家・橋田須賀子先生。
現実の世界と上手くリンクさせながら、ドラマの世界で「相続」問題の大変さ・大切さを、上手に視聴者の方へ訴えられた内容だなぁ。と、大阪のおばちゃんとして、とっても感心しました。
同時に、
相続に関する法律の専門家の端くれとしておもったことですが・・・
「相続(争族)」問題は、日本人にとっては、いまや日常を取りまく国民の関心事・社会問題の一つになったなぁ。ということです。
そして、もうひとつは・・・
前篇・後篇あわせて4時間程度という短い特番ドラマの時間内で、
①昨年までと今年からでは「相続税の基礎控除額」が違うこと
(今年からは相続税を払う必要のある人が増えるということ)
②遺言書がない場合の「遺産分割」の方法や割りあい
③遺産のほとんどが「不動産」であった場合の分割の困難さ
④相続放棄手続きまでの期間の短さ
⑤法定相続人以外のみうちが色々と口を出して、問題を複雑化する やっかいさ
⑥事業承継にかかわる問題と解決方法
⑦孫名義の「名義預金」(これは問題点については触れられていませんでしたが・・・)
などなど・・・
普段 皆様からご相談をいただいて実際に個別にじっくり解説させていただく相続にまつわる様々な問題点であったり・・
相続を「争族」にしないために。というテーマなどでお話させていただくセミナーの内容であったり・・・
盛り沢山の相続問題を、かなり初歩版・簡易版にはなってはいるものの、
お馴染みの一家の物語の中で、わかりやすく相続 総合体験版に仕上がっているな。と感心しかりなことでした。
私もおもわず 夜なべして 一気に観てしまいました^^;
ドタバタと相続人それぞれがおもいがけない財産がもらえるかもと、右往左往しながらも、こんな解決方法もあるのか。と最後はほのぼのとさせてもらえる とてもよいストーリーだなあ。と私は感じました。すでに観られた皆さんはどのようにお感じになりましたか?
(実は、法律家のはしくれとしては、そこはちょっとどうなん。と議論したい部分も、もちろんありますが・・・(笑)、それは、また、おいおい次回以降の解説などでご紹介できればとおもっています)
もし、皆様の中で、実際にまだ 身内の相続争いの大変さを、身をもって体験された事がない方がいらっしゃるのであれば、自分に近いポジションの役柄になった気持ちで、一度今回のドラマをご覧になって見てはいかがでしょうか。
相続の大変さ・大切さを疑似体験することは、自分や家族の相続問題をしっかり考えていただくうえでも、とても有意義な第一歩なのではないでしょうか・・・
(もちろん、個人的な私のおすすめですので、ご興味がおありのかたは、ということでご紹介しています。もし、御不快におもわれるかたが万一おられましたら、その点ご容赦くださいませ)
私のこれからのセミナーネタや解説などでは、「サザエさん一家」だけではなく、『渡おに』ファミリーの例え話が登場するとおもいます。
その時は、難しくなりがちな「遺産相続」や「事業承継」の話を、少しでも皆様に、わかりやすく・馴染みやすく説明するのに使ってるんだな。と楽しく話に参加していただいたり、内容チェックしていただいたり、「そうそう」と相槌をいただければ、うれしいです。
というわけで・・・
私が担当させていただく初回のブログ、長々となってしまったにもかかわらず、全く法律の専門家らしい話ではありませんでした。
が、相続(争族)問題はいまや国民の大きな、そして身近な関心事だということ。
これを今回はご理解いただければな。とおもって、自由に書かせていただきました。
次回からは、相続や事業承継に関する「知っておいて、損をしない」情報などを、少しづつですが 事例などをあげて、わかりやすく解説していきたいとおもいます。
よかったら これからもお付き合いください。よろしくお願いします。
(筆:岩井 留美)