『予備的遺言』で万万が一にも気を付けよう
一般社団法人かんさい相続サポートセンターの中野です。
わたしの実家は祖父の代から家業をしています。
祖父のこどもは3人いますが、長女とその夫が祖父と同じ仕事をしています。
ちいさな家業ですので、祖父と長女の家族が同居して
仕事をしているので見た目には、『長女家族が家業を継ぐのだろう』
と思われているようですし、中野家はみんなそう思っています。
長女のこどもも家業を手伝っていて、後々は祖父から長女夫婦、
そして長女夫婦のこどもが家業を引き継いでいく・・・そんなことを
考えているようです。
ただ、祖父が亡くなった場合、3人のこどもには、財産を相続する権利が
ありますので、権利を主張してくると家業のための土地や財産も
わける必要が出来てくる場合があります。
これを防ぐ有効な方法のひとつとして、『遺言書』があります。
祖父が遺された家族にどのように財産を引き継いで欲しいかを
明確にしておくことで財産分割でのもめ事を防ごうというものです。
遺言書を書いても完全にあんしんではない!?
遺言書を書いていても完全に書かれた通りに相続が行われる
訳ではありません。
たとえば、中野家の例で言うと「長女にすべての財産を譲る」
といった内容の遺言書を書いたとしても、他の子どもたちが
反対すれば、遺留分と言われる、最低限の相続権に関しては
守られるためです。
そして、もうひとつ気を付けておかないといけないのは、
財産を遺したい相手が先に亡くなった場合です。
遺言は代襲相続されない!?
代襲相続とは、中野家の例で言うと、祖父が亡くなる前に長女が
なくなった場合、祖父から長女へ受け継ぐ財産の権利は、長女の
子どもに引き継がれます。これを代襲相続といいます。
しかし、財産を引き継ぐ権利はあっても遺言書の内容を引き継ぐことは
できません。
例えば、祖父が遺言書で、「店舗の土地と建物は長女に相続させる」
と書かれていたとします。
祖父より長女の方が先に亡くなってしまった場合、
「店舗の土地と建物は長女に相続させる」という遺言は無効に
なってしまいます。
「予備的遺言」で予防を
前述のようなことを防ぐのが「予備的遺言」です。
簡単にいうと、「こんな場合は、こうしてくれ」と遺言書の中で
指示をします。
例えば、確実に長女家族に家業を継がせたい場合、
「店舗の土地と建物は長女に相続させる」を
「店舗の土地と建物は長女に相続させる。長女が死亡している
ばあいは長女の子どもに相続させる」
と書いておくわけです。
あまり子どもの方が先に亡くなることなど考えたくないことですが、
可能性はゼロではありません。
遺された家族が争ったり、悩んだりしないようにするための道具が遺言書です。
万一のことも考えて遺言書を作成しておきましょう。
専門家はさまざまな相続に対する問題に直面してきています。
そんな専門家のノウハウをうまく取り入れて家族が幸せに暮らすことができる、
相続でなやまない遺言書を書いてあげてくださいね。
P.S.
今回、「予備的遺言」のお話のために中野家の家業について
記載をいたしましたが、一部創作のところもあります。
ご了承ください。